喫茶Honfleur掲示板 2007～2009年

Message#20622 2009年3月12日(木)23時03分
From: 聖者ぼんちリンポチェ

Re9:兵庫県の兄弟!!

和井　恵さんのメッセージ(#20591)への返事

> > 許されてしまうかもしれません。
> > 如来（真理勝者）やシヴァ大神と合一していればよいとか。
>
> それは、大乗仏教の中でも「後期大乗（中観唯識）＝密教」の部類に入ると、
> そのような解釈も可能となりかねないような教義も出てきますね。
> 理趣経なんか、それに近いかも…
>
> ね、ボン（梵智）ちゃん。

私はこれまで、
例えばイスラム教徒がアッラーの存在を信じるのと同じような意味で、
大日如来にしろ、シヴァ大神にしろ、
この宇宙のどこか（内外）に実在している、
という風に考えたことが生まれてこの方なかったので、
それらと合一していればよい、と思ったことがありません。

だから、たいていの密教の人が考えるような解釈では
理趣経を読んでいない可能性もあります。

例えば「一切有情殺害三界不堕悪趣」に類似の文言が、
大般若理趣分を祖とする経典には登場しますが、
普通は「三界の一切の有情を殺害しても悪趣に落ちず」と読みますが、
私は「三界の一切の有情を殺害すれば悪趣に落ちず」と読みます。

これが「地球上の一切の有情を・・」であれば、
私は単なる危ない人なんですけど、
「三界の・・」というのであれば話は変わります。
少なくともこのような経典が書かれた段階では、
どこかの有情が死ねば、また三界の中のどこかに有情として転生するわけでしょう？
それでは三界のすべての有情を殺害した、とは厳密には言えない。

じゃあ、「三界のすべての有情を殺害した」と胸張っていえるとしたら、
それは「三界の一切の有情を三界の外へ排除した」という状態ではないかと。
つまり「三界の一切の有情を涅槃に至らしめる」ということではないかと。
それが出来れば悪趣どころか表彰もんですからね。(笑)
せいぜいその功徳によって自らもまた涅槃に赴くであろうと。
理趣経百字偈にある「恒作衆生利　而不趣涅槃」、
「まず衆生を利し、先に涅槃することはない」にもとることもありません。

これにマジレスしてしまうとしたら、
「ほたらそんだけのこと、やってみい！」ということになりますけど、
しかし、涅槃を思う気概としてはそのくらいあっても良いのではないか、
とも思えるわけですね。

しかしながら、「不趣涅槃」とはいうものの、
この世に涅槃を体現していなければ、何の意味もないわけで、
その意味でも私は「生きていながらの涅槃」をしたい、
最低限でも「死後に怯えることがない状態」にはなりたいと思います。
なぜなら、そんな私を見た人が「羨ましいな」と思ってくれたら、
そこがその人の涅槃への第一歩になるわけですから。
私が今のところ考える「救済」というものがあるとしたら、
それは自分の涅槃であると言えるでしょう。

ゆえに私は、理趣経自身がそういう「合一さえしていれば」とか、
「救済ができれば」というような教えを持っているというよりも、
読み手によってはそう解釈もし得る文言が並んでいるだけ、
という風に考えています。
そもそも経典自体が、作者が考えたことを、
さらに文章という形の方便にしてあるものなわけですから、
方便だけ見て「この経典はこんな教えを持っている」と断定しても
おそらく始まらないんじゃないかしら。

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