警察庁長官銃撃事件の公訴時効成立について ■ 2010年3月30日(火) 時効を迎えた今、改めて15年間の捜査を振り返って、この事件は、当初から関与が疑われ続けた教団にとっては、一種の冤罪ともいい得る事件ではなかったかとの思いを禁じ得ません。 教団では、事件発生直後より、教団関係者への疑惑を晴らすため、延べ数百名にも及ぶ事情聴取をはじめとして、できる限りの捜査協力を尽くしてきましたが、その解決を見ることなく捜査に幕が引かれたことは、極めて残念です。 その一方で、実行犯の特定すらできずに起訴に至らなかったにもかかわらず、「麻原元代表の意思のもと、教団信者のグループにより敢行された組織的テロ」と断定する見解が警視庁より発表されましたが(「警察庁長官狙撃事件捜査結果概要」)、同庁が、これと同一の見立てに固執した初動捜査の過ちから、本日の時効を迎えてもなお、いまだ一歩も抜け出せていないことは、極めて遺憾です。この発表が、当初の見込み捜査とその失敗を正当化するために行なわれたものだとすれば、捜査機関として決してあってはならないことだと思います。 しかも、この中に匿名で登場する8人の元信者らが、事件に関与したことを明確に裏付ける証拠や証言は全く見当たりません。推定無罪の原則を無視し、当事者の反論の機会を封じたまま、刑事手続に依ることなく特定個人・団体を犯人視する見解を公表することは、重大な人権侵害行為であり、教団並びにすでに教団を退会している関係者らへの名誉毀損といわざるを得ません。 この事件の捜査の過ちが、時効を迎えるに至っても警察内部で何ら教訓化されることなく、逆に正当化され、社会に大きな禍根を残す結果になったことに、改めて強い危惧を抱くものです。 |