Message#2413 2006年1月6日(金)23時27分 From: 和井 恵 | |
「現代心理学」から観た「心の働き」と、「三毒」との関係。 |
| 私たちの心は「安定感」と「満足感」を求めています。
「心の欲求」が満たされると「満足(喜び)」を感じ、 満たされないと「不満(怒り)」が生まれます。 また、「心の平安(安定)」を保とうとする「働き」が常に生まれ、 それを「壊す」刺激を「嫌悪」して「排斥」しようとします。
「心の平安(安定)」を保とうとする「働き」について、 少し例を挙げて説明してゆきましょう。 これは、「無知」と深く関わっているのです。
ある時、次のような実験が行われました。 まず、被験者を二つのグループに分けます。
「普通の環境」で育ってきた人たちと、「特殊な環境」で育ってきた人たち。
「特殊な環境」とは、例えば家の近くに「飛行場」があり、 絶えず「日常」で「飛行機の騒音」に悩まされ続けてきた人たちのような。
この二つのグループを「同じ部屋」に入れ、 バックミュージックとして「クラッシック音楽」を流します。 この環境の中で「同じテスト」を受けさせるのです。
そうすると、「普通の環境」で育った人たちの方が、「良い結果」が顕れました。 逆に「飛行機の騒音」のような「耳障りな音」を流すと、 前回とは「逆の結果」が生じたのです。
つまり、「安定」とは、「慣れ」と大きく関わっているのです。 今まで「何回も同じ経験をしている」と「慣れて」いるので「心が安定する」。
ある本に、こういう例が紹介されていました。 小さい頃から「叱られてばかりいる子供」は、「失敗した行動」を取りやすい。 何故かというと、「その刺激に、慣れている」から。 逆に、たまに「よくやったわね」などと「誉められる」と、 その「刺激」に慣れていないため、 「どういう反応」をして良いか分からずに「不安」になり、 無意識のうちに「心の安定」を求め、「失敗」するような「行動」を選択してしまう。 そして、母親から、 「なによ、さっき誉めてあげたばかりなのに、 こんなバカなことをするなんて!あなたはやっぱりダメな子ね!!」 と、叱られてしまいますが、何故か「ホッと」してしまう…という。
また、「幸せすぎて、何だか怖い」という人もいます。
もっと「恐ろしい説明」をする人もいます。 子供に「自分の考え」を押しつける親に対し、 子供は「自己の確立(自立)」を妨げられるため、心の中に「怒り」を溜め込みます。 しかし、その「怒り」を「表現する」ことが出来ない。 鬱積した「怒り」は「歪んだ形で表現」される。 つまり、「自分の失敗」という形を取る。 それは、「親の期待を裏切る」という「復讐行為」であり、 「自分がこうなってしまったのは、みんなおまえのせいだ!」 という、「自主的な判断」を押さえ込まれてきた子供の「心の叫び」だと言うのです。 しかし、普通は誰も「意図的(それが無意識にしろ)に自己を傷つける」ことなど しないと考えているために、相手(親)にその「真意」を気づかれることはない、 と言うのですね。
この考え方が「正しい」かどうかは別にして、とても興味深い「考察」だと思います。
「刺激」に関する、次のような「実験」も紹介しておきましょう。
生まれたばかりの「ネズミ」を「三つのグループ」に分けて、 「良い刺激」例えば、優しい音楽、適度な暖かみ等を与えるグループと、 「悪い刺激」例えば、うるさい騒音、電気ショックなどを与えるグループと、 「刺激を与えない」、何もしないグループとに分けて、数週間観察を続けます。 そうすると、明らかに「ひとつのグループ」だけが、 「心身の発育」が大幅に「遅れる(未成熟)」ことが判りました。
それは、「どのグループ」だったのでしょうか?
答えは、「刺激を与えない、何もしないグループ」だったのです。
私たちが「刺激」を求めるのは、それが私たちの「成長」に役立つからなのです。 つまり、「無関心」にされるよりは「嫌われた」方が「益し」なのです(!)。 しかし、「悪い刺激」が、私たちに「悪影響(副作用)」を与えることは言うまでもありません。
繰り返して言いますが、
「心の欲求」が満たされると「満足(喜び)」を感じ「好ましさ」が認識されます。 その逆に、満たされないと「不満(怒り)」が生まれ、「憎悪」が認識されます。 また、「心の平安(安定)」を保とうとする「働き」が常に潜在意識に働き続け、 それを「壊す」刺激を「嫌悪」して「排斥(自己防衛本能)」しようとします。
つまり、「渇愛・欲求」から「満足」と「不満足(怒り)」が生まれ、 「心の安定」を得ようとする「盲目的な反射作用(無知)」から「嫌悪」が生まれるのです。
これが、「現代心理学」から観た「心の働き」と「三毒」との関係なのです。
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